ポテトサラダは「出来たて」がおいしい？

ドイツのポテトサラダやドイツ人にはじゃがいもの噛み心地が欠かせないことを書いた後，日本のインターネット新聞に上記のようなタイトルで，美食家が美味しいポテトサラダの作り方を解説した記事がありました。

たしかにおいしいかもしれません。いやおいしいに違いないでしょう。

「選ぶべきはほくほくとした、粉質のじゃがいも」だそうです。

ただ，ドイツ人と話す機会があったら，できればポテトサラダを自分で作るぐらいのポテトサラダ好きに意見を聞いてみてほしいと思います。
おそらく，10人中10人，1晩置くと断然美味しくなると言い切るはずです。
そのためにも，選ぶべきは，"festkochend"（粘質？）じゃがいも。粉質（mehlig）はぐしゃぐしゃになりやすいので不向きとなります。

北海道に初めて行き，北海道の多くの人たちと知り合いになり，多くの発見がありましたが，そのひとつにジャガイモに対する愛着を強く感じたことを50年経った今でも覚えています。

たまに食卓に出て来る程度の南育ちと，寒い環境の中で地元栽培のじゃがいもと共に生まれ育った人たちの，じゃがいもに対する味覚は大きく異なることも感じました。

北海道出身の友人や知り合いも多いのですが，これまで「じゃがいも」に関する問いかけをしなかったことが悔やまれます。

機会があったら，かれらに，新聞記事の美食家のレシピによる「できたてがおいしいポテトサラダ」とドイツ人シェフのレシピによる「1晩置きがおいしいカトーフェルザラート」を作って，感想を聞いてみようと思います。

一方で，ポテトサラダが好きなドイツ人は，当然ながら多くのじゃがいも料理が好きで，なかでも最もシンプルな，茹でただけの皮つきじゃがいもが好物という人はとても多い。

おいしい，おいしくない，というよりも，ひとつの食材を知り尽くした人たちは，その食材の特徴が最も含まれた味，中の中の新たなおいしさ，中の中の中に潜むおいしさを味合う能力を備えているように思うのです。