海外の日本食はホームシックの癒し?


「日本に帰ってきました!」

いきなり大きな声が聞こえてきた。

「ちょっと帰ってきました!」

streetfoods w427h640知り合いかな,と思って振り向くと,すぐ隣りに座っていた男性が言っている。
周りにはだれもいないので,どうやら僕に語りかけているようだ。
つられて,「あ,そうですか。どうでしたか。暑かったでしょう。」

「ほんとに日本は暑いねぇ。でもよかったよ。久しぶりだったから。」

「いいですね。日本食も毎日食べられるでしょうし。」

「そうだよ!ほんとに日本はどこに行っても,何でも美味しいねぇ。それに安い。大したもんだよ。それに比べてこっちはねぇ。そんなに旨くねぇのに値段だけ高くって。」

一通り,日本での食事の良さを褒めちぎり,ドイツでの日本食屋の食事をけなした後に立ち去っていきました。遠くで「そんなこと言っていいんですか?」と別の人の語り声が聞こえながら・・
後で聞いたところによると,その元気な男性は日本食レストランの主人だったらしい。

インターネットでヨーロッパの日本食レストランに関する意見を探すと,「日本のような(味)」という形容がとても多い。「ヨーロッパ価格で値段は高いけど,日本にいるようで心が休まるし」などと共に。
対する,ヨーロッパ人の意見を探すと,日本に行って,よりどりみどりの食に興奮と感激が混ざった様子の体験談が多い。また,もともとの日本食好きが日本に一度でも滞在すると,ヨーロッパに帰って来たとたんに現地の日本食に対する感想が訪日前と大きく変わるようだ。当然といえば当然と思えるけれども。

ヨーロッパ人がヨーロッパの日本食レストランに行くときに期待していることは定かではない。純粋に和食を求めて行く人や,日本の雰囲気が好きで行くニッポンフィルなど,さまざまだろうから,少しづつでも聞き集めていくより仕様がない。
でも,日本人は,「そりゃぁ,日本の食事のほうが美味しいし,多彩だし,安いし,良いに決まっているよ。でも,こっちにいるんだから・・」

と,海外の日本食屋は最初からハンディキャップをもらっている。

やっぱり,日本の一時帰国の体験を興奮して語った大将の言葉は,両方を知り尽くした人の「海外の日本食の真実」

われわれのような多くの帰れない組にとっては,日本のどこにでもあるような普通の料理屋がいいんだけれども,そういうのがなぜか無い。
日本に一度でも行ったことのあるヨーロッパ人もきっとそんな料理屋を望んでいると思う。
あぁ,ヨーロッパの日本食レストランは少し別の方向に舵をとって欲しい。

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