焼きそば


yaki soba 1(巻き)寿司やラーメンほどではなくても,簡単で,儲けやすいメニューに焼きそばがあります。考えようによっては,スパゲッティーよりも儲けやすい。

スパゲッティーは,予め山盛り作り,注文が来たら小分けするだけ,ということはできません。イタリアでも見かけることはありますが,駅や場末の半分セルフ風の店に限られているのではないでしょうか。
対する焼きそばは作り置きで十分。味付けも強い醤油味の一律でOK。
熱いに越したことはありませんが,直前に高熱で炒める中華独特の仕上げとの違いが分かる人は少ないはずです。
日本で提供される焼きそばとは異なるのです。ヨーロッパ人が焼きそばの味の優劣を区別できるようになるまでは,まだかなりの年月を要しそうです。

ラーメン同様,材料費は安く,調理時間も短い。

中国人経営の店では注文ごとに一皿一皿調理された美味しい焼きそばが多いにもかかわらず,ほぼ100年来,海外の中華料理メニューには「フライドヌードル」が載っているにもかかわらず,日本語のYAKISOBAのほうが一気にステイタスが高くなってしまいました。
もうこうなると,日本食ブームの波に便乗した「日本の食なら美味しいはず」のトレンド洗礼なのです。

ヨーロッパ人を見下すのは失礼ですが,経営者にとっては,安い材料費,早い調理,アルバイトでもできる料理,という魅力は大きいはずです。
アジア系,日本系のフェスティバルでは,スパゲッティーで作ったような,現地人販売のただの醤油味の焼きそばが飛ぶように売れている光景をよく見ます。

英国のスターシェフ,ジェイミー・オリヴァーを知っている人は多いと思います。
彼のYouTube料理,「簡単に作れる炒飯」を中国人の料理人がコケにしていました。
私はそう思いませんでしたが,中国人にとっては,「こんなのは炒飯とは呼べない」ということかもしれません。
YouTubeには素人玄人の多くの調理人が出て来ますが,私がドイツで気に入っているチャンネルに,Thomas Kocht というのがあります。
彼も,ジェイミー同様,いろいろな料理だけでなく,パティセリーやパンの作り方も分かりやすく説明しているのですが,焼きそば調理を見たときはがっくり。
早い話,ジェイミーもトーマスも,本場,または類似した材料を用いるだけで,調理法は,西洋の,炒める・煮る,なのです。

定かではありませんが,思ったことは,ヨーロッパ人はアジア人が美味しいと感じる,アジア料理の核をなしている部分を知らないな,ということです。
ドイツ人に限ったことですが,複数の中華料理屋を比較して,知り合いの日本人の間では似たような優劣を付けても,ドイツ人は「味」の優劣はほぼまったくつけられない,分からないのです。

これは,欧州料理,特にパンなどに対する日本人の見解と似ているかもしれません。
日本人を含む,アジア人には,食にこだわるグルメ風の人たちが多いことは間違いなくても,欧州料理やパンの美味しさや魅力を形作っている,みえない何かを感じ取れる人は非常に少ないでしょう。

いずれにしても,ヨーロッパの小規模な個人経営の日本食堂などで,焼きそばを含めないのは損。お祭りなどがあったら,まず焼きそばを取り入れましょう。

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