ラーメン


レロワイヤル(パリ)にある「サッポロラーメン」がいつごろ開店したのか知らない。
ただ,パリに長年ぽつんとひとりで佇んでいる感じだった。

ramen w480h640だれも読めない,意味さえ分からない「ラーメン」という大きな看板。それも,オペラ通りというパリの顔の口元。どうして,少し横道に入った場所で営業してくれないのだろうか。日本人にあの辺りの場所を聞いたり,説明したりするときの目印としては便利だったかもしれない。

それにしても,まるで,シックな姿をしたフランス人の唇だけがアジア人の形をして,醜い口紅がべっとりと塗ってあるようで,通るたびに嫌な気持ちになった。もちろん入ったこともない。

その後,日本人観光客のランドオペレータをしている人から,「あそこで日本人団体が昼食をとるんです。高級ブティックが並んでいるサントノーレ通りから歩いて来れるし」と聞いて,まぁ納得。

その後,パリを訪れるたびに日本食レストランが増えている印象を抱き,ラーメンというメニューも目にすることが多くなった。

それでも,寿司,天ぷら,すき焼きならいざしらず,ラーメンのような食べずらい,すすりスープには,西洋人は寄りつかないだろうと思い込んでいた。
ぼくはラーメンは,嫌いではないけれども,別に好物ではない。
だから,若い頃(60-70年代)に外で何か食べる,となっても,カレーまたは定食を選ぶのが常だった。
しかし,世の中にはラーメン好きが多いらしく,ラーメンのことを熱く語る日本人にもたびたび会った。

パリに長年住んでいる外食好きの友人は,さすがに食べ歩いているだけあっていろんな穴場を知っていた。
彼に教えられて何度も通った場所はリヨン駅横の狭く汚い裏通り。数軒あった小さなベトナム料理店は安く,居心地はあまりよくなかったけれども,本場の匂いはした。

ところが新たにパリを訪れると,リヨン駅は開発されてあそこは無くなったという。
本物の旨い中華そばはベルヴィルだ! そこにしよう,と言って,以来何年かは彼を訪れるたびにベルヴィルまで行った。
サンミッシェル界隈の中華料理店の時代はすでにとっくに過ぎ去っていた。

たしかにメトロのベルヴィルを降りると,ニューヨークやロンドンの中華街の雰囲気が漂っていた。それだけで良い予感。中国人が凌ぎを削っているであろう,こんなところの中華料理がまずいはずはあるまい。予想通り満足,あらゆる面でプティ・ソーホーだった。

ところがまたまた。

数年後には,「パリの南に大きな中華街があるんだ」と言う彼。
中華そばは卒業して,今度はベトナム・ラーメン(彼の語彙)に乗っているらしかった。
ぼくのような人間にラーメンのことを語る資格はないのは分かっているけれども,なぜヨーロッパ,特にパリで,ラーメンの人気が出て,ブームに終わらず今だに成長を続けている理由は知りたいと思う。

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