開店までの必要書類から,ドイツ飲食業の法規まで,知っておきたい和食レストラン起業条件

ドイツで日本食レストランの開業


cash register w640電子帳簿の導入義務の最終期限は2024年6月

ドイツの飲食店の電子レジスターは会計安全規約に準拠したキャッシャーシステムを用いることが2020年から義務付けられています。電子レジスターの使用自体はまだ強制ではありませんが,使用する際は税務署の規約に適合したキャッシャーシステムでなければならず,ディジタル機器はインターフェイス,ソフト,保存用ハードウェアが一体となったシステムとして,通常は会計事務所と連結されたソフトが用いられています。

2018年から税務署は事前の連絡なく飛び込みで,飲食店のレジの調査を行い始めています。
ドイツではまだ現金支払いが多いこともあり,特に飲食店のレジは会計を行った後に操作することも可能なことが多いため,操作可能な機器は2024年6月以降は無許可システムとして使用できなくなります。

>> ドイツ連邦財務省

会計安全規約(法的安全性)とは?

レジを打った後に操作ができない安全機能を差し,TSE(Technische Sicherheitseinrichtung:技術安全装置) と呼ばれています。レジを打って会計が行われるとデータは機器内の電子帳簿に保存されると共に,そのデータのコードも作成され,同じく保存されます。そしてそのコードは各々のレシートに印刷されますが,変更不可のプロトコールとして保存されているデータは,必要に応じて税務署に送信できる機能も備えていなければなりません。

領収書(レシート)発行義務

会計安全規約の制定と共に領収書発行の義務も導入されています。
領収書(レシート)には,電子レジまたは技術安全機能を備えた同種の機器の製品番号,署名,および検査値が記されている必要があります。
領収書はPDFファイルなどの電子媒体でもよく,ディジタル領収書の発行があれば,紙媒体の領収書はなくても構いません(両方の領収書の発行も可)。
注)領収書を発行できない正当な理由がある場合,例外的に認められることもあります。

データ保存

保存されたデータは,税務署から要求があれば,いつでも送信できる状態になっていなければなりません。
データは,通常は店内で使用しているTSE機器に直接保存されますが,別の外付けハードウェアを使用している場合は,定期的に自動的に保存データ送信が行われなければなりません。その際は,TSEで十分な保存容量を再び取得可能です。
または,現場(店内)にTSE機器がなくても,専用のオンライン保存ディスクに送信されるシステムが構築されていたら,そのシステムを利用できます。データ保存する十分な容量がレジ機器のハードディスクになく,クラウド保存も行われない場合,全データをキャッシャーシステムに保存しなければならないので,保存容量が一杯になると新たなTSE購入を要することになるので注意が必要です。

税務署への届け出

税務署への届け出は "Mein ELSTER" をはじめとするソフトを介してオンラインで行うことが義務付けられています。使用しているレジ機器も(新たに購入した場合も1ヵ月以内に)個々の製品番号と共にオンラインで届け出なければなりません。

広い選択肢 - キャッシャーシステム

市販されているキャッシャーシステムは100種類ぐらいあるそうです。
実は日本で知られているPOSシステムとの違いを知らないまま書いています。
新規開店の日本食レストランは勿論ですが,すでに電子レジスターを利用している店舗も改めて,TSEによる法的安全性および 会計適合性(Finanzkonformität)を満たしているか確認し,機能不足の電子レジの場合はこの機会に最適な機器の購入またはレンタルのために情報収集して,後悔しない再スタートを切りたいものです。
特に中古品の場合に,基準が満たされていない機器が多いようです。

料金の目安

ざっと見てみると,最初の支払い額は500~1000 €,月々のサポートは50 € が相場のようです。
システム購入の場合は,最初のハードウェアの購入料金に加え,ソフトウェアは更新ごとに料金がかかり,サポートはレベルによって月額が変わってきます。
プリンター,スキャナー,カードリーダーなども必要になることも考えられます。
システム独自のハードとソフトは高価格なことが多いので,Windows,Android,iOSなど,汎用性が高い標準OSの中から,現在自分が使用しているスマートフォンまたは多くの従業員が使用しているOSの中から選択したほうが良いと思います。

 

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