開店までの必要書類から,ドイツ飲食業の法規まで,知っておきたい和食レストラン起業条件

ドイツで日本食レストランの開業


gaststaetteドイツの都市と飲食店の物件の探し方

すでにドイツで長年働いて独立を志す人は,事情をよく知っている地元で物件を探されると思いますが,日本から直接来る人は,まずドイツの都市を調べて最適な場所を選択することになるでしょう。

ドイツ国内で不動産が最も高い都市はミュンヘン。ドイツの平均家賃より65%も高いダントツのトップです。そして,シュトゥットガルト,ケルン,フランクフルト,ハンブルクと続きます。一般住宅の家賃のランキングですが,飲食店の家賃もこれらに比例するようです。そうみると,全体的に家賃が上がっているとはいえ,ベルリンはまだまだ,家賃も安く探しやすい都市のようです。

また,ドイツ人がレストランを開店する場合は,ロケーションがとても大事な要素になりますが,日本食レストランは別に多くの人が往来する表通りではなくても,逆にないほうがいいと思うので,家賃も節約できます。売上の8-12%が家賃,というのがドイツの飲食店経営の指標ですから,事業計画の売上に沿った物件を探すことになります。

不動産の購入と賃貸

買うのがいいか,借りるのがトクか,場合によっては悩む点になることも考えられます。もちろん計画されているレストランの規模やタイプにもよりますが,繁華街と表通りから少し離れただけの場所で倍近い違いがあることも珍しくありません。上記に示したように,ミュンヘンや都市大改造中のシュトゥットガルトの中心街などでは,不動産の購入は一般人には考えられないことですが,ベルリンや小都市などでは売買と賃貸の両方の物件を探してみてもいいと思います。

賃貸 - Mieten & Pachten

ドイツで営業用の不動産物件を探していると,Mieten または Pachten という標題が目に入ります。
Mieten は単に空っぽの不動産自体を賃借することですが,カウンターや棚などが付いていることもあります。対する Pachten は,厨房をはじめ,飲食店の経営に必要な設備と共に賃借することを意味します。Pachten の場合,設備の詳細が記されていますから,冷蔵庫やオーブンなど,正常に機能することを必ずチェックします。
また,Mieten なのに,以前の経営者から設備を引き継いで(購入して)ほしいといわれることもよくあります。厨房設備は安い設備ではありませんから,使用年数を確認し,値段の相場を独自に調べるなどしてから検討してください。まとめて買ってくれといわれても,不要・不適切な設備があったりすると思います。ドイツ人相手ですから,率直に交渉しましょう。

通常は,3ヶ月分の(解約時に戻ってくる)保証金と最初の月の家賃を含んだ計4ヵ月分を契約時に支払います。不動産会社を介した場合は礼金が加算されます。
契約期間は賃貸アパートと比較すると長い(5年以上)ことが多いので,短い契約期間を希望する際は交渉が必要になります。不動産会社を介した場合の礼金も同様で,賃貸の場合は最低でも2ヵ月分の家賃の相当額になります。
町中の1平米あたりの家賃は,飲食店の場合,10~30ユーロと大きな幅がありますので,いずれにしても複数の物件を見るようにしてください。

また,日本食レストランの場合は,以前飲食店だった物件を引き継いでも,内装などを和風に変える工事を考慮すると結局全館改装と同じようになる可能性もあります。それならば,いっそうのこと,上下水配管,ガス・電気,空調など基本的な部分だけが問題なく,あとはボロボロの状態の物件の方が非常に割り安になることが多いと思います。
特に,日曜大工の店で調達した道具を用いて仲間同士でリノベーションができるようであれば,かなりの費用の節約になります。もちろん,建築基準や飲食店法に準拠していないと,無駄な改修工事を強いられることにもなりかねませんから,施工前に専門家の意見などを仰ぐようにしてください。
日本食レストランの経営者から引き継ぐ場合は,言葉の問題もなく(日本人の場合)スムースに進むとは思われますが,減価償却を含む設備の詳細が記された契約書は欠かせません。

賃貸契約

住居と異なりレストランや店舗などの家賃額に対して定められた法はありません。また,住居では不動産会社への礼金は基本的に廃止されていますが,不動産会社が仲介している事業物件では礼金が必要です。敷金(Kaution)も最大5ヵ月分(通常は3ヵ月)となっています。
賃貸契約では,期限付き(befristet)または無期限(unbefristet)という分類,ならびに固定家賃(Festpacht),段階的家賃(Staffelpacht),および売上に応じた家賃設定(Umsatzpacht)などに分類されます。一般的な期限付き契約の場合,例えば事業を廃業したいと思っても,期限付き契約期間に縛られている限り,最低2年間の家賃の支払い義務が適用されます。従って,どのような分類の契約でも想定される状況に応じた交渉も必要です。

物件の探し方

日本も同様かも知れませんが,ドイツの飲食業も半分以上が赤字経営だといわれます。そして飲食業に限らず,経営が苦しい小規模経営の店が多いので,街の中には空き店舗が結構あふれています。開店を計画されている町によって大きな差があるとは思いますが,実際に多くの物件を見て歩くことで,新たないろいろな考えが浮かんでくるのも事実なので,じっくりと探したいものです。

● インターネットで多くの物件をみながら条件やロケーションを見定める

ドイツ語が理解できなくても,家賃や広さは分かると思いますので,いろいろ見てみましょう。
以下,ドイツの飲食業の物件が掲載された不動産インフォメーションサイト

>>> Immowelt.de
>>> Immobienscout24.de(都市名,広さ,家賃の予算などを指定して検索,または右ペインから都市を選択)
>>> hotelimmobilien.pachten-kaufen.de(ドイツの連邦州を指定)
>>> www.immonet.de(都市名,広さ,家賃の予算などを指定して検索,または都市を選択)


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